コリビングという言葉を知っていますか?
コワーキングスペースとシェアハウスを合体させた言葉で、ここ10年間くらいで注目を集めています。
フリーランスや起業家だけでなく、リモートワークで働くと、自宅にこもりがちです。
しかし、家の外を出てどこか旅行感覚で遠出をして、旅行先に住みながら仕事をする。
また普段は接点を持たない似たような仕事スタイルの人と出会い、リアルな場所で交流を深められるメリットがコリビングにはあります。
この記事ではコリビングの内容や歴史。実際に日本や台湾、インドネシアのバリ島で利用したコリビングについて紹介してみました。
ではどうぞ。
コリビングとは何か?
コリビングとは英語でCo-Livingと書きます。
シェアハウスとコワーキングスペースが一体化したものと考えると、わかりやすいかもしれません。
コワーキングスペースとは、フリーランス (自営業者) や起業家が同じ場所に集まって働く場所です。
一方、シェアハウスはバッググラウンドの違う住民が一つの家に住む場所を指します。
コリビングは元々はイギリスで始まり、アメリカの西海岸でも広まったスタイルです。
ロンドンやシリコンバレーでは大手IT企業やスタートアップが集まるようになり、年々家賃の高騰していました。
そのため若者が家賃を安く済ませるためにシェアハウスに住む文化があったのですが、そこにコワーキングスペースを合体させて、コリビングが生まれたのです。
ただコリビングには、既存のコワーキングスペースやシェアハウスにない概念があります。
キーワードはコミュニティーです。
同じ目的を持った人たちが、同じ場所で生活することで、人とのつながりが生まれる。
一緒の場所で仕事をするので、起業家とフリーランスのプログラマーが知り合いになれたり、一人で作業しているよりも仲間が増えるのがコリビングのメリットです。
特に自分の腕や頭で稼ぐという同じスタイルを持った人々が住むので、話が弾みやすくなります。
またコリビングによっては、イベントを定期的に開催してるところもあります。
パソコンのソフト(フォトショップなど)の使い方を学ぶ会や、ヨガなどの運動をする会などが開かれいるのです。
住人同士が仲良くなれるように設計されています。
ぼく自身も日本の千葉にあるコリビングを1泊2日で一度利用したことがありますが、そこにいたメンバーで併設されたキッチンを使い、仕事終わりにカレーを作りました。
ワーキングスペースを利用していた時は、別々に作業をしていましたが、ご飯を一緒に作って食べることで仲良くなれた覚えがあります。
仕事内容も近かったので、作ったカレーを食べながら話も弾みました。
一方、シェアハウスは目的も働き方もバラバラな人が集まって住みます。
なので、家賃の安いシェアハウスに住んでしまうと、同じシェアハウスのシェアメイトと会話することも少ないです。
もちろんコンセプトを持ったシェアハウスもあるので、日本国内にいながら外国人と仲良くなりたい人などは、多国籍シェアハウスに住むのはありでしょう。
コリビングはフリーランスや起業家、アーティストに向いているシェアハウスだと言えます。
国やオーナーによって異なるコリビング(Co-Living)のコンセプト
イギリスやアメリカの西海岸から生まれたコリビングは現在、世界的に広がっています。
アメリカやヨーロッパだけでなく、日本や台湾やインドネシアなど、いろんな国で体験できるのです。
ただ、世界中に広まるにつれて、少しずつ意味合いが違ってるところがあります。
アメリカやヨーロッパで始まったコリビングは、シェアハウスやコワーキングスペースに近いと言えるでしょう。
また起業家やフリーランスの集まって、刺激をし合う場所になっています。
リゾート型のコリビングとは?
ロンドンから始まり、アメリカの西海岸でも広まったコリビング。今は世界的なリゾート地にもあります。
インドネシアのバリ島にあるコリビングは、シェアハウスとコワーキングスペースが一体化している欧米型とは違う形で広がりました。
コワーキングスペースが中心となって、そのまわりにホテルやヴィラ、時にはアパートメントを借りて、そこに通うというスタイルが一般的です。
バリ島自体が欧米人に好まれる観光地なので、そこに数ヶ月単位で滞在して、サーフィンなどを楽しみながら仕事をしている起業家やフリーランスがいます。
逆に数日間から数週間の滞在はあまり見かけません。
数週間のバケーション休暇は完全に休むことに専念する人が多いです。
だから会社に出勤する必要のない起業家や、フリーランス、リモートワークできる会社員が集まっています。
長く滞在すると次第に顔見知りになってきて、交流も生まれてくるので、ここにもコリビングのコミュニティー要素があると言えるでしょう。
東アジアのコリビングは?
日本や台湾に入ってきたコリビングは、ホテルやゲストハウスの延長線上にコワーキングスペースをつけたアイディアの場所が多いです。
そうなっているのは、日本や台湾などの東アジアの働き方が、充分に長期間の休みを取れない理由が大きいでしょう。
日本や台湾でコリビングと呼ばれている宿泊施設は、設備的には素晴らしい場所が多いのは確かです。
ただ、宿泊施設側が人を集めるために、いま流行っている「コリビング」というネーミングをつけて集客してしまうと、形だけ似せてしまうだけになります。
コリビングのいいところは、中長期間滞在することで、そこに滞在している人と交流が生まれることです。
そこでおたがいの仕事や方向性、生活に良い影響を与え合っていくこと最大の魅力だと言えます。
だから日本などでコリビングを使う時は、数日間の宿泊滞在でもそこにいる人たちと交流できる場所を選ぶと、コリビングの魅力を感じられると利用して思いました。
もちろん日本や台湾にも、数ヶ月単位から年単位で住めて、フリーランスや起業家と交流できるコリビングもあります。
日本国内で探すなら、そういうコミュニティーを作っているコリビングを探してみると、自分の世界が広がることでしょう。
世界のコリビングを実際に使ってみた体験
ここからはアルトプロ(AltPro)のメンバーが世界各国を訪れて、実際にコリビングを使ってみた感想を紹介していきます。
日本、台湾、インドネシアのバリ島に訪れて使ってみたので、参考になれば幸いです。
まるも 千葉県金谷市
まるもは千葉県金谷市にあるコワーキングスペースです。
コワーキングスペースのまるもの近くにシェアハウスがあり、そこにフリーランスが集まっています。
こちらででは日中にコワーキングスペースのまるもに集まり、夜はシェアハウスに帰って寝るというスタイルです。
家と仕事する場所が完全に一体化はしていませんが、住んでいる人はシェアハウスとコワーキングスペースの両方を使う目的で契約しています。
なので、発想的にはコリビングだと言えるでしょう。
まるもの近くにVoidという宿泊施設もオープンしたので、シェアハウスを借りていない人も、お試しで1〜2泊泊まってみることもできます。
金谷のまるもというコワーキングスペースの特徴は、駆け出しのフリーランスが集まる場所です。
母体の会社が「田舎フリーランス講座」を開いているため、会社員から転職してフリーランスになりたい人に向いてるかもしれません。
自分も行ったことあるけど、フリーランスのエンジニアやブロガー、メディア運営者が集まっていました。
会社から独立して、ライターなどのフリーランスになりたい人はいい影響を受けられるでしょう。
またWeb系の人が集まるので、すでに独立してるフリーランスの人も交流して影響を受けられると感じました。
注意点としては、集まる人がWeb系フリーランスの人中心という点です。
これからフリーランスになりたい育成の研修もやっているので、ライターやブロガー、アフィリエイター、エンジニアなどが集まっています。
起業家や他の職業のフリーランスがいくと、中のコミュニティーに入るまで時間がかかる可能性があると感じました。
カフヌ台北 台湾台北市
台湾の台北にあるコリビングがカフヌ台北です。
3〜6階がコワーキングスペースになっていて、台北で働く人たちが集まっています。
台湾の羽田空港こと台北松山空港からも近く、ビジネスの利用にも適していると言えるでしょう。
2人から6人くらいで話し合う会議室もあるので、商談にも利用できます。
コワーキングスペースのスタッフは夜5時くらいには帰ってしまいますが、夜はワークショップやセミナーも開かれている日もありました。
また上の階はカプセルホテルになっていて、泊まることもできます。
カプセルホテルといっても、内装は非常に綺麗です。木目調の壁もあり、落ち着いた雰囲気あります。
ホテルとしても利用できるので、台湾旅行する時に仕事でも利用できるのがポイントです。
ただ、コリビングで重要な交流の要素が薄いと言えます。
ぼくが泊まった時はコリビングで行うイベントもなかったため、全く現地の台湾人と交流しませんでした。
誰か仲間と泊まって作業するならいいけど、コリビングの要であるコミュニティー要素は充分に味わえないと言えるでしょう。
泊まる場所自体は綺麗で、設備もとても良かったです。
ただ、コリビングの名を借りた「綺麗めの作業スペースのあるカプセルホテル」といってもいいかもしれません。
日本にもホテルがコワーキングスペースを作って、そこにコリビングを名乗ってしまうと、このような本質とはズレたものになりがちです。
イギリスやアメリカの西海岸スタイルのコリビングを体験したい方には、かなり違うかもしれません。
インドネシアにあるコリビング
インドネシアのリゾート地として世界的に知られるバリ島。
ここには多くのコワーキングスペースがあります。
バリ島は南国で物価も安いこともあり、欧米人がサーフィンやヨガをしながら長期滞在をしているのです。
もともとバリ島にはコワーキングスペースがあって、まわりのホテルやヴィラに泊まりながら、通う人がたくさんいました。
このスタイル自体がコリビングに近かったのです。
その上でバリ島のコワーキングスペースは、コリビングを経営するところも出てきました。
ここではバリ島のコワーキングスペースとコリビングを紹介します。
ドージョーバリ / インドネシア バリ島 チャングーエリア
バリ島の中のチャングーエリアには、多くの欧米人が滞在し、サーフィンを行う人が多いです。
この地域にあるのが、ドージョー バリ(Dojo Bali)というコワーキングスペースです。
ドージョーバリにはコリビングもありますが、周囲に多くの安宿やヴィラがあります。
ここにバリ島で長期滞在している起業家やフリーランスが集まり、のんびり暮らしながら働いていました。
ドージョーバリではサーフィンのレッスンやヨガ教室、ランチや焚き火しながらビールを囲んだりもしています。
その一方で、パブリックスピーチ、マーケティング、マネージメントのワークショップなど、仕事に直接関係しているイベントも有料で実施されていました。
他にも、起業経験者が失敗談を話してくれたり、コーチングしてくれるイベントも行われています。
このメディア、アルトプロのメンバーが直接行った時は、起業家が投資を集める時にラウンドして緊張した話や起業の成功談・失敗談を聞けて大いに刺激を受けました。
コリビングらしい横のつながりを体験できて、非常にいい場所だと感じます。
フブドゥ / インドネシア バリ島 ウブドゥエリア
続いてバリ島で2軒目のコワーキングスペースを紹介します。
バリ島のウブドゥエリアはスタートアップ文化があり、ここはその中でも象徴的なコワーキングで、起業家が集まっているのが特徴です。
既に閉店してしまったようなのですが、ウブドゥにあるフブドゥ(Hubud)というコワーキングスペースでは、スタートアップウィークエンドというイベントが行われていました。
起業したい人が週末に集まり、それぞれがアイディアを発表して、ビジネスアイディアを検証するイベントです。
参加者は世界各国から来ていて、地元のインドネシア人も参加していました。
コワーキングスペースのイベントを通して仲間ができるので、数ヶ月間の中長期滞在できれば、アメリカやヨーロッパまで行かなくてもコリビングを体験できます。
ビリック / インドネシア バリ島 セミニャック
バリ島のビリックというコワーキングスペースは、セミニャクという比較的街の中心街に近いエリアにあるコワーキングスペースです。
コワーキングスペースを使っている人たちは、それぞれが集中して仕事をしてる印象でした。
コワーキングスペースでイベントもやっていますが、起業家向けのものはありません。
アルトプロのメンバーが1日のドロップインで利用しただけだったので、コワーキングスペースのカルチャーはわかりませんが、仕事はしやすかったそうです。
2019年の時点でコワーキングスペースの近くにコリビングを建設中でしたが、アパートメントスタイルでした。
ビリックでは、コワーキングスペース運営のシェアハウスを1週間から1ヶ月単位で借りると、コワーキングスペースの利用は無料になります。
ビリックというコワーキングスペースのコミュニティ機能がどこまで充実しているかわかりませんが、このような形のコリビングもありました。
最後に
コリビングとは何か?世界にあるコリビングとはどんな場所があるのか?
という紹介は以上です。
リモートワークでずっと家で仕事をしていたり、フリーランスで移動の自由が効く人には、コリビングが自分の視野を広げてくれる可能性があります。
また長期間の旅行、短期間の引越しというイメージで、数ヶ月間の期間、違う場所で生活しながら働くと、新しいアイディアが湧くかもしれません。
2020年のコロナウイルスの影響で働き方も変化しているので、収まってきたら次の一歩として、コリビングを利用してみるのはどうでしょうか?
ではまた。