リモートで効果的にアイデア出しする5つのポイント

リモートで効果的にアイデア出しする5つのポイント|AltPro.jp これからの働き方

多くの方がブレインストーミングでアイデアを出した経験があるのではないでしょうか?

「ちょっとブレストしましょう」

「お茶でもしながら、企画一緒に考えてもらえませんか」

日常的に聞いていたフレーズですが、リモート環境になってからは、「リモートだと難しいね」や「オフィスに行った時に相談させて」と、アイデア出しする機会が減ってしまいました。

しかし、アイデア出しを先送りにし続けることはできません。

リモート環境でも、やり方を工夫したり、ツールを使ったりすることで効果的にアイデアを出すことは可能です。

私が過去10年にわたり大手外資企業や国内大手企業にて様々なアイデア出しワークショップなどを実施してきた経験を、みなさんのお役にたてて頂ければと思います。

ここでは、効果的にチームでアイデア出しする方法をリモートでも活用できるよう考慮し、5つのポイントにまとめてみました。

1)リモートでアイデア出しに重要なことを張り出す

リモートでのアイデア出しを見える化|AltPro.jp

リモートでアイデア出しを行う際は、重要なことを常に見えるところに張り出しましょう。

アイデア出しの目的、前提、制約、条件などを明確にし、これを書き出します。

人は忘れやすい生き物です。

アイデア出しを進め、色々と考えているとどうしても目的や条件からずれてしまい、本来の目的から大きくずれた方向に走り出してしまうこともあります。

アイデア出しの参加者が常に立ち戻れるように、目につく場所に目的、前提、制約、条件などを張り出しておきましょう。

Muralのようなオンライン・ホワイトボードを使用する場合は、左上など目につく場所に貼り付けておきましょう。
(参照:「Muralの使い方を初心者向けに解説」)

他にも過去事例、調査結果、参考資料などがある場合は、目に付く場所に張り出しましょう。

ZOOMやTEAMSの画面共有を使ってアイデア出しを行う場合は、パワーポイントなどに重要な項目を明記しておきます。

また、視覚的に共有できるツールを使わない場合は、口頭で目的などの重要なことを再確認するようにしてみてください。

2)リモート環境でアイデアを可視化する

上記のポイントと近いポイントですが、出てきたアイデアなどを可視化(ビジュアライズ)することがリモート環境では大変重要です。

議題、話題に上がったこと、気になった言葉、決めたこと、アイデアのタネなど、話している際にどうしても聞き流してしまうことがあります。

私がクライアント先にて、リモートで共同作業する際に一番わかりやすく効率が上がったと思えるのが、打ち合わせの可視化でした。

私たちは、Mural(オンライン・ホワイトボード)やGoogle Docs、Microsoft Teamsなどでアイデア出ししながら、目的、制限、過去の資料、リサーチ結果、インタビューメモ、アイデアなどを常に書き足しながら話し合いを行いました。

対面であれば、ホワイトボードやノートに書きながらアイデア出しするかと思います。

文字や図表として書き出すことで、話し合った内容が忘れられることを避れるのではないでしょうか。

また、可視化されたものを見ながら話し合うことで、そこからアイデアが生み出されることもありました。

デジタルで保存されることで、書き出したアイデアを修正したり、アイデアをカテゴリー分けしてまとめたりといったメリットもあります。

あとで、思考プロセスを見返せるので、どのような情報をもとにしてどう決めたのか履歴が残るのもメリットです。

Muralのようなオンライン・ホワイトボードやMicrosoft 365などを使って、アイデア出しを可視化できる環境を作りましょう。

3)アイデア出しのファシリテーターを置く

ファシリテーターを置くことで、リモートでのアイデア出しの進行をスムーズに行うことができます。

ファシリテーターとは、ブレインストーミングなどアイデア出しの流れを良くする役割の人です。

司会と何が違うのか質問されることがありますが、決められたプログラムやアジェンダに沿って進行するだけでなく、意見を引き出したり、流れを円滑にしたりはもちろんですが、結論に向けて議論を促すことがファシリテーターに期待されます。

意思決定や正誤を決める人ではありません。

目的や条件などを理解し、それに沿ってアイデア出しを引っ張ります。

ファシリテーターは、参加者が自由に発言でき、アイデア出しが活発になるようにな場を作ります。

リモート環境では会話が1チャンネル(1人ずつ発言)だけです。

対面では個別に会話が拡がるネットワーク型のコミュニケーションが成り立ちますが、リモートでは1対1もしくは1対多型のコミュニケーションになり、参加者全員が同時にアイデアを共有することは難しくなります。

声が大きい人の意見だけが組まれる事がないよう、ファシリテーターが幅広く参加者の意見を汲み上げましょう。

時間管理や拡散・収束の切り分けなど、ファシリテーターが進行を管理することで、アイデア出しの参加者はアイデア出しに集中できます。

また、心理的安全性を確保する意味でも日常業務から離れた方がファシリテーションすることがよいかもしれません。

4)時間の管理(タイムボクシング)をする

タイムボクシングをする|AltPro.jp
タイムボクシングとは、時間を小さく区切って管理する方法です。

例えば、「顧客のペインポイントを5分で出す」や「3分で個別ブレストして、2分で各自発表」といった時間制限を課して進めます。

短い時間に制限することで集中力を高く保て、だらだらと長時間アイデア出しするよりも有用な結果になります。

リモート環境では、横で一緒に作業している人たちから受ける、程よい緊張感を感じづらいという感想を多く頂きました。

時間制限を設けることで、程よく緊張感を保つことができます。

実際、私がファシリテートしたリモート環境のアイデア出しの際にも、タイムボクシングは大変有効でした。

(個人的な意見かもしれませんが・・・)
アイデア出しは楽しいので、制限がなければ永遠と終わりません。

リサーチやインタビューなど、ある程度時間がかかる準備作業もありますが、アイデア出しは短距離走のように時間を制限して走りきるように進めると効率があがります。

大手金融機関などで私がファシリテートしたワークショップでは、タイムボクシングを取り入れるようにしてきました。

その際の参加者からは、「リモートでもここまでできるんだ」や「すごく疲れたけど、ぜひ日常の会議でも使いたい」といったポジティブなフィードバックを多く頂いています。

5)リモートで一緒にやる作業と個別にやる作業を分ける

何名か集まってブレインストーミング(ブレスト)のようなアイデア出しをすると、「では、みんなで考えましょう」といったように、全員でブレストしていませんか?

しかし、全員でブレインストーミングすることが必ずしも効果的だとは限りません。

特にリモート環境においては。

SPRINT 最速仕事術」でJake Knappは、「グループで騒がしくブレーンストーミングするより、各自が個別に問題にとりくんだほうがよりよい結果がえられる」と言っています。

大人数でブレストをすると、他の人がアイデアを出してくれると気が緩んでしまいます。

また、リモートでは物理的に人に囲まれている訳ではないので、周囲からのプレッシャーも強くありません。

他者のアイデアに引っ張られ(集団思考)、アイデアが「まぁ、こんなことくらいしかできないよね」と行き詰まることも。

一方、個別にブレストをすると、それぞれが「アイデアを出さなければいけない」といった程よいプレッシャーを受けるでしょう。

他者との会話に邪魔されることもないので、深く集中してアイデアを出すことができます。

個人作業としてのブレストをした後に、全体で共有したり、アイデアを積み上げることでさらにアイデア出しが効果的になるでしょう。

Jake Knappは、このようにチームとして個別で作業し、チーム全体で具体的なステップで進めていく方法を「全員が個別に取り組む方法」と説明しています。

一緒にやる作業と個別にやる作業を分けることで、リモートでのアイデア出しを効果的に行いましょう。

長くなってしまいましたが、アイデアの出しやアイデアの作り方は奥が深い分野です。今回は、リモート環境のアイデア出しで実践できる5つのポイントに絞ってまとめました。

アイデア出しの手法やテクニックなども別記事で紹介できればと思います。

リモートでアイデア出しする際にぜひ参考にしてみてください。