会社員だからパーソナルブランディングはしなくていい。
「あれはインフルエンサーをはじめとする自営業者や起業家がやるものだ」と思ってはいないでしょうか?
しかしパーソナルブランディングは、欧米では会社員のキャリアアップの方法として捉えられ、使われることもあります。
キャリアの選択肢が多様化した日本においても、会社員がパーソナルブランディングを行なって、キャリアアップを目指すメリットは大きいのではないでしょうか?
今回は会社員がパーソナルブランディングすべき5つのメリットを紹介します。
パーソナルブランディングとは何か?
会社員がパーソナルブランディングを行うメリットを語る前に、そもそもパーソナルブランディングにまつわる誤解を解く必要があるかもしれません。
日本では「セルフブランディング」、「自分ブランド」、「ブランディング」という言葉が一人歩きして、怪しいものだとイメージを持たれているからです。
しかし、フォーブス誌でジョセフ・リュー(@josephpliu)はこう言っています。
パーソナルブランディングとは、自分のキャリアや人生において、自分が何者であり、何のために役立てるかを確立して、その強みをまわりに伝え続ける方法である
引用: 5 Ways To Build Your Personal Brand At Work
つまり、社内外において、「自分はこの分野に強い専門家である(プロフェッショナルである)」と認知してもらって自分のキャリアアップにつなげる行動を、全てパーソナルブランディングと呼ぶのです。
そもそも私たちは誰かと働くだけで、相手に印象を与えています。
自分の発言、仕草、仕事への取り組み方などを相手が受け取り、「彼、彼女はこういう人間である」と認知します。
この時に意識したり、無意識のうちに自分が相手に与えてる認知を、「パーソナルブランド」と呼び換えているのです。
「パーソナルブランディング」とは、仕事をする上で、自分がこの分野の専門家であると認知してもらい、見られたい自分のブランドと相手の認知のギャップを埋める方法です。
例えばあなたが上司に対して、「データ分析に強いアナリスト」と認知されていたら、これが現在のあなたのパーソナルブランドだと言えます。
しかし、もしあなたがこれから自分のキャリアで「SNSマーケティングにも強い人材」を目指していたらどうでしょうか?
このギャップを埋めるのが、パーソナルブランディングです。
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会社員がパーソナルブランディングすべき5つのメリット
次に会社員がパーソナルブランディングをすべき、具体的な5つのメリットを紹介します。
自分のキャリアゴールを明確できる
会社員がパーソナルブランディングをすべき最初のメリットは、自分のキャリアゴールを明確にできることです。
多くの人は自分のキャリアを考えているでしょう。
あなたは自分のキャリアゴールを設定し、どう達成するのか。明確に描けているでしょうか?
日々の日常業務をこなすことも大事ですが、どういう自分のキャリアゴールを描きたいのか?を問うこともビジネスパーソンにとっては大事なことです。
昭和の時代は選択肢が少なく、また終身雇用制が一般的だったので、同じ会社のなかでどうやって昇進するかを考えることが重要でした。
またこれまではジョブローテーションやジェネラリストを育成する会社も多かったのも特徴です。
しかし令和の現在の働き方は、外資のように特定分野の専門分野になることが求められます。
キャリアの選択肢も多様化して、同じ会社で働き続けるだけでなく、転職、独立することも一般的になってきました。
働きながらインターネットを通じて、新しい仕事の専門分野を学べる機会なども増えています。
そのため現代のジョブマーケットにおいて、私たちは企業が喉から手がでるほど欲しい人材としてキャリアを構築する必要があるのです。
専門家としてキャリアの選択肢は無限に広がっていますが、ジェネラリストの会社員は自分の強みを表現しづらく、転職に不利になってしまいます。
いろいろと浅くできるけれど、一つのことに深くはできないからです。
パーソナルブランディングは、自分のキャリアゴールを自分自身に問いながら、自分の専門分野を決めます。
そしてまわりの人から「この人はこの分野に強いから仕事を任せよう」と認めてもらいます。
そのためには、必然的に自分のキャリアゴールを意識するので、具体的なアクションを取らざるを得ません。
パーソナルブランディングは他人からどう認められるか?という部分を強調されますが、まず最初に自分自身がどう将来の自分を認めたいか?という問いから始まります。
パーソナルブランディングは今まで働いた自分を振り返り、将来の自分のキャリアを見つめ直すいいチャンスです。
転職や副業のチャンスが生まれ、収入が上がる
パーソナルブランディングを行うことで、収入が上がる可能性があります。
たとえばパーソナルブランディングをして専門分野を磨くことで替えのきかない人材になり、転職マーケットにおいて自分の価値が上がるのは、その一例です。
労働市場において強い需要があるにも関わらず、人材の供給が足りていないと、給料が上がる傾向は高まります。
特に簡単には習得できないスキルを複数掛け合わせて持っていると、その人の市場価値は高まるでしょう。
たとえば過去の例では、日英バイリンガルでERPシステム(基幹システム)を理解してる人材が少なかった時期がありました。
ERPシステムと会計業務がわかり、日本語と英語で円滑にコミュニケーションを取れる人が当時少なかったのです。
そういう人材は外に対してパーソナルブランディングしていると、転職の際に声がかかりやすくなります。
常日頃から自分のできるスキルや経験をリンクトイン(Linkedin)に書いておくと、ヘッドハンターの目にも止まりやすくなるのもメリットです。
自分が労働市場のなかで少ないスキルや経験を持っていると、ヘッドハンターなどは常に顧客企業へ紹介できる人材を探しています。
いざ転職したいと思った時には、転職の話が有利に進められるのです。
先ほどの例では、実際に年棒が1,500万円以上で転職の話がまとまったこともあったようです。
また転職のエージェントと長期的な関係を結んでおくと、ヘッドハンターから声かかります。
上記の例は大きな話ですが、他にもガジェットブログを運営してアフィリエイトで大きな収益を上げている人が、アフィリエイト企業に転職する際に自分のブログが界隈で有名だったため、一次面接だけで合格した例がありました。
日頃からブログやツイッターで発信してため、それが会社外の人にも効果的なパーソナルブランディングになった一例です。
最近では副業を推奨する企業も増えてきました。専門性を生かしてアドバイザーやスポットコンサルとして他社と仕事をされる人もいます。
たとえば、自社で会計システムのERPシステムの導入を担当した人が、セミナーのLT(ライトニングトーク)で発表していたことがありました。
そこで同じ会場で聞いていた人が、自社で同じ悩みを抱えたため、発表者に仕事をオファーしようとした例もあるのです。
また自身の専門分野をブログやYouTube、ツイッターなどで発信することで、閲覧者が増えて副収入を生む可能性もあります。
そこでアフィリエイト広告などを貼り付ければ、月に5万円ほどの収入を生むことも可能です。
このようにパーソナルブランディングは自分の給料や副業で収入を増やすこともできます。
望んでる仕事に参加できる
パーソナルブランディングは、自分で専門分野や強みを分析して、その強みがまわりに役立てることをまわりに伝える方法論です。
会社内で、「彼の専門領域や強みはこれだ」と認知が深まれば、社内でプロジェクトを任せてもらえたり、自分が興味ある部署に移動できる可能性が高まります。
自分の専門分野が知られていると、関連したトレーニングにも呼ばれる可能性があります。
これもパーソナルブランディングを行うメリットです。
実際にあった例ですが、会社内でGoogleやAirbnbが採用しているデザインスプリントを専門分野にしている人は、ある時に社内で仕事をしている時に呼ばれました。
ちょうど会社内では、Googleから外部講師を招いて行われていたUXデザインのスプリントのトレーニングが行われていたのです。
そこでパーソナルブランディングをしていたおかげで、「彼も呼んでみよう」という話になって、参加させてもらえることになりました。
パーソナルブランディングを適切に行うことで、自分の伝えたい仕事の強みや専門領域を相手にきちんと理解してもらえるようになります。
人脈のネットワークを形成できる
パーソナルブランディングを行っていくと、自分のブランディングしたい専門分野について、積極的に会社内の会議や業界の集まりで発表する機会が増えます。
また勉強のために、専門分野のセミナーなどに参加することもあるでしょう。
他人の前で積極的に発言したり、発表したりするのは大変なことです。
しかし、そのおかげで「あの人はデザイン思考やデザインスプリントに詳しい」など、ブランディングしたい専門分野と自分に対して、いい印象を持ってもらうことができます。
セミナーに参加して懇親会で話せば、自分と同じ専門領域で他社の人と横のつながりを持つことができるでしょう。
最新の情報を定期に会社でシェアしていれば、自分の会社で「あの人はあの分野が専門で詳しく、最新の情報をもたらしてくれる」と認知してもらえます。
ネット上にもう一つの信用できる名刺・履歴書を作れる
パーソナルブランディングをしていくと、ネット上に自分の名前と過去の実績・経験が積み重なっていきます。
ネット上の実績や経験を信頼できる形で積み上げられれば、ネット上にもう一つの信用できるあなたの名刺や履歴書を作れます。
これも会社員がパーソナルブランディングすべきメリットの一つです。
あなたの名前に関連づいたインターネット上の実績や経験は様々な方法で残ります。
たとえば他人のブログに、「社内でデザイン思考の活用に取り組んでいる人」と紹介されることもそうですし、自らツイッターなどで専門分野の情報発信することもそうです。
また自分のフェイスブック(Facebook)の友達一覧やリンクトイン(Linkedin)のコネクションに、ブランディングしている専門分野の第一人者が出てくれば、間接的にあなたの信頼性が高められるでしょう。
ブログやSNS、YouTubeで発信していれば、文章や動画から人柄が伝わってきますし、時には名刺や紙の履歴書以上にあなたのパーソナリティーを雄弁に語ってくれます。
パーソナルブランディングによって残されるインターネット上の実績や経験は、名刺や紙の履歴書よりもあなたの信頼性を高めてくれる可能性があると言えるでしょう。
最後に
長くなりましたが、会社員がパーソナルブランディングをすべき5つのメリットは以上です。
ブランディングと聞くと身構えてしまうかもしれませんが、パーソナルブランディングは自分でキャリアプランを描いていく方法です。
そして自分の看板にしたい専門性を磨き、会社内外に向けて自分の役立てる専門性を理解してもらう方法なので、成功した際には計り知れないメリットがあります。
この記事が参考になれば幸いです。
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